本書を読んだきっかけは家族間でオートファジーが流行っていたから。家族がテレ朝の番組で吉森保先生の著者『生命を守るしくみ オートファジー 老化、寿命、病気を左右する精巧なメカニズム(著者)吉森保(Amazon)』に興味を持ったが見つからず、代わりに同著者のオートファジーに関するこの『LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義(著者)吉森保(Amazon)』を読んだ。
『LIFE SCIENCE(ライフサイエンス) 長生きせざるをえない時代の生命科学講義(著者)吉森保(Amazon)』は前半は生命科学の基礎、考え方、訓練について、後半にオートファジー、寿命についてが書かれている。
読み始めは「前半いらなくね?」と思ってたが大切。生命科学や科学に関心がない人や学んでこなかった人が身につけるとたいへん役立つ。専門用語や数式、化学反応式など使わずに説明をしてくれる。オートファジー以外にも活かせる内容だ。
エセ科学の見分け方、自分で考える力の付け方、科学の基本、相関と因果など。
知っておくと生命科学やオートファジーの理解や面白さにも気がつくし、これから科学や数字のトリック、メディアの情報などを注意深く読み取れそうだ。
これから生命科学を学んでいき生きづまったら読み返したくなる。
後半はオートファジーと寿命について オートファジーをツイッターで検索すると「オートファジーダイエット」「16時間断食」が出てくる。 でも、これらとは少し違う。
ぷち断食は紹介されているけど「難しい」「極端な断食をすると危険」とも書かれている。たぶん16時間断食は極端な例だと思う。
オートファジーは細胞の中をリサイクルすること。 飢餓状態になったとき細胞の中を分解して栄養源に回す。細胞の新陳代謝、有害物を除去する。
飢餓状態が断食の部分。 空腹が続くと糖質が枯渇して筋肉のたんぱく質を使う。 だから極端な断食をすると筋肉が落ちて、腕と足は細くなりお腹ポッコリ体型になってしまう。
オートファジーを活性化するなら筋トレは絶対必要。
わたしのメモ
専門家は自分の専門領域には詳しいけど、その他の部分は知らない。
コロナが流行っていたころ、論派王が専門家を論破する場面もあった。 その専門家はシャーレの中のウイルス専門家であって、論破王が語る外の世界でのウイルスは専門外。
「遺伝子組み換え」と似ているものに「作物の品種改良」がある
素早く行われる遺伝子組み換えた食品は抵抗あるけど、ゆっくり行われる作物の品種改良に抵抗がないのは不思議。
作物の品種改良は長い年月をかけて起こる自然界で起こる世代交代を、人が少し早めているだけ。
本当にそれが正しいとは限らない
科学で証明されることはすべて真実な気がするとけど、真実に限りなく近いだけであって正解ではない。
科学の基本は仮説と検証
真実ではなく真理に近いより仮説はそこから多くの予想を導き、たくさん応用ができる考え方。
仮説を検証して正解だと思う調査結果を導き出しても、反論される。
反論されたらまた仮説を立てて検証をする。 また反論される、仮設検証を繰り返す。
科学はより真理に近づけるが断定はできない
新型コロナウイルスが流行したり、原発事故が起きたり、スタップ細胞で騒がれたりすると、世間は断定した判断を求めがち。
でも、科学は断定するほど怪しい。
新型コロナウイルスは拡大と変異が速すぎて科学がついていけていないのに、「こうすれば安全」と断定はできない。
検証が不十分な仮説が多い。
科学は推理小説に似ている
推理小説と科学者は仮説を考えて検証を繰り返す。
推理小説は犯人が分かっていない、犯人が誰か?伏線を探しながら読み進めていく。
名探偵コナンや時計仕掛けのガリレオのように仮説を考えて検証を繰りかえす。
伏線を探す、常識を疑う
研究者は常に疑い、うのみにしない。
推理小説は人が考えた謎解きなので、人なら思いつけるはず。
でも生命科学は自然が相手なので想像もつかないトリックがあるかもしれない。
常識を疑う。
相関=因果ではない
部屋に入ってスイッチを入れたら電気が付いた、スイッチを入れたから電気がついたとは限らない。
電気回路や電池、配線、見てスイッチを入れたら電気が付いた。
相関関係:原因と結果ではないかもという関係
因果関係:確実な原因と結果の関係
相関関係と因果関係を考える癖を身につける
日常生活や時事などで疑問に思ったことを考える癖をつける。
エセ科学にだまされないように比べる癖をつける
科学的に調べるときは比較する
対象群を比較する
煙草を吸う人:煙草を吸わない人
煙草を吸ったことがない人:煙草をやめた人
科学が出てきたら対象群を探す
オートファジーは細胞の中をリサイクル現象
オートファジーは細胞の恒常性を保つ、恒常性はいつもと同じ状態に保つこと。
タンパク質は使いまわし
タンパク質は食べ物から摂取しているのではなく、オートファージでできたアミノ酸の再利用です。
使いまわされてた。
オートファジーの役割は3つ
タンパク質の塊を除去
タンパク質は治療法がなかなか見つからない病気と関係がある
アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患は脳内中のたんぱく質の塊と関係がある。
神経細胞は一生もの
神経細胞と心筋細胞は同じ細胞が使われる。
他の細胞は寿命を迎えると新しい細胞が生まれる。
アルツハイマー病やパーキンソン病の患者さんの脳内はすき間が多い。
神経細胞が死んで脱落してしまったから。
なので神経細胞と心筋細胞はオートファジーに頑張ってもらうしかない。
オートファジーは歳とともに動かなくなる
高齢者の認知症が多い理由のひとつ
ルビコンはオートファジーを止める
タンパク質のひとつルビコンはオートファジーを止める
ルビコンが必要な臓器もあるが、ほとんどの臓器にはいらない存在。
高脂肪食によって肝臓でルビコンが増える。
マウスの実験では4か月間高脂肪食を与え続けたら、肝臓は缶脂肪になった。オートファジーの働きが低下とルビコンの増加を確認。
オートファジーが関係すると言われている病気
2型糖尿病、動脈硬化、感染症、腎症、心不全、炎症性疾患、筋委縮症、ミオパチー、貧血、遺伝病などなど
オートファジーはがん細胞を助ける
がん細胞自身がオートファジーの能力を持っている。
がん細胞は血管から離れて組織内の中に潜り込んで転移する。
血管から離れると栄養を得られないはずなのに生きていられるのは外細胞自身がオートファジーができるから。
アメリカの研究では抗がん剤とオートファジーを止める薬を併用する治験が行われている。
オートファジーを活性化さえる食品
スペルミジン、カテキン、レスベラトロール、アスタキサンチン。
スペルミジンは若い人は自分で作れるが、歳をとると激減する。
納豆、みそ、しょうゆ、チーズ、シイタケ
カテキンとアスタキサンチン
カテキンはお茶、アスタキサンチンは鮭、いくら、エビなど赤色天然色素もの
レスベラトロールはポリフェノールの一種で赤ワインに多く含まれる。
フランス人は肉やバター、ワインをたくさん食べるのに欧米の中では長寿。
動物実験では寿命を延ばす働きが確認されている。
オートファジーダイエットの8時間16時間は出てこない
オートファジーダイエットでは「8時間食べて16時間断食」のような記事が見つかるが、本書では出てこない。
オートファジーダイエットに興味ある方は情報の出所を確認する
断食が長くなると筋肉が痩せる
断食してオートファジーが最も活性化するのは筋肉支えている細胞内
栄養が補給されないと筋肉ないのタンパク質を分解してしまうので筋肉がやせてしまう。
逆に脂肪細胞はなかなか減らないので、間違った断食を行うと手足が細くてお腹が出る体型になる
腹8分、軽い運動する、脂っこ食事は避ける